わたしの足はギリシャ型

あうくつがない

専門卒がメイキングザカットを見た感想


先週、恋人から面白いと勧められたので、加入したばかりのAmazon primeで放送してるリアリティ番組、「メイキングザカット」を見はじめたのですが、

面白くてほぼ3日くらいで全部見てしまった。

 

サムネイルが二つ表示されいたからシーズン2もあるのかなと思って1を一気見していたんだけど、調べたらシーズン1がついこの間終わったばかりだそうで、トラップかよ…。

見る前はNHKでやってる「ソーイングビー」(イギリスの縫製板テレビチャンピオンのような番組。出場する人の基準がよくわからないが見てしまう)のプロ版か? と思ってたんだけど、スケールが違いすぎた。優勝者には賞金100万ドルにAmazonで販売フォーム。まぁAmazonで服は買ったことないし、Amazonの服をオシャレやなーと思ったことはないんだけども、欲しい!と思った時にその場で買えるのがネット通販の良さなので、出場者にも視聴者にも最高やんでしかない。Amazonすぎょい。

 

だからテレビショッピングって普段生きてたらあんまり欲しいと思わないような微妙なラインナップが多いのかぁという全く関係ない気付き…高枝切り鋏とか、スチームクリーナーとかあったら便利そうだけどなくても困らないもんなぁ。ないと困る人は既に持ってそうだし。そのうち「劇落ち王決定戦」的な洗剤の開発者がしのぎを削るリアリティ番組が始まったりするかもしれない…真珠王決定戦とか…開発者も"共感"で売る時代…。いちいちテレビチャンピオン風なのは世代なんだよ許せ。


話は脱線したけど、ある時集められたデザイナー12人がアトリエに詰め込まれて制作をひたすら強いられるという光景は、大昔に服飾専門学生だった私からするとPTSDが起こりそうなくらい嫌なこともいいことも思い出してきて謎にエモかった。

ミシンを譲る譲らないとか、優等生が制作が遅い人を助けるとか、出来の悪い人にアドバイスする年長者とかあるあるすぎて笑ってしまったし、突然先生が乱入して激励と具体的だけどどうしたらいいかわからないダメ出しをしてくるあたりも学校すぎて懐かしかった。なので、初めの方は感情移入でそれどころじゃない感じで、バラエティとして楽しめてきたのは舞台が東京になってから。

出てる人たちはプロであって私がしてたのは専門学生でしかないけれど。マジでいる〜あんな奴〜って感じでめっちゃ面白かったので服飾専門学生だった人は見たほうがいいです。現役生は多分見てるだろうから特に言わない。


まだ終わってから日が浅いのでネタバレするのもなぁと思いながら書いてますが、しても困らないレベルでの雑な感想を話したいと思います。

まず初めに思ったのはいるいるろくに縫えないのにデザインしてる人!という…

ちょくちょく挟まれるインタビューシーンで

デザイナー達の背景が明らかになっていくにつれてデザインの根拠のようなものがわかってくるんだけど、縫えないのにデザインしてるってのは本人にとんでもなく非凡なセンスがあるとかカリスマ性があるかくらいしか周りに有利になる条件がないんですよね。だからインフルエンサー系のファッションブランドってよく出てくるけどすぐ終わる。おしゃれの知識はすごいのかもしれないけど、多分脳の使う部分が違うんだと思う。(なので神田うの渡辺直美はすごい)

専門学生だった自分からすると、その手の縫えないデザイナーって基本的に大したことないんだよね…専門いこうと思う人ならまず通る道というか…非凡なセンスとかって知識に裏付けされたものが割とあるみたいで、きちんと勉強していた方がそのセンスを発揮し易いし、やり易い。

学生時代、私は専門学校で造形を学んだのだけど学科が違うビジネスを勉強してる子達がデザインした服を自分たちの学科で縫うと言ったイベントがあって、いくら本人達がおしゃれさんでも縫製やパターンをよく知らないからなんつかデザインが平凡な割に作りづらいというトラウマしかなかった記憶…。もちろん素敵なデザインもあったけど。

その初々しさが武器や良さになるとは思ったし、デザインが好きな人ももちろんいるし一概には言えないけどそのセンスをさらに素敵なものにするならきちんと作れた方がいいんじゃないかなぁと…見ててもどかしかった。ただ、ファッション業界で発言力があるのは技術じゃじゃなくて流通方面の人が多いのでなんとも言えない。


あと、同じような実力の持ち主の間でセンスが微妙なのに技術を誇示する人…もいたいた。まぁこれはお国が違うのでなんともなんだけど、問われてるのはデザインセンスなのでまずちょっと意味がわからないしなんつか、立体裁断もパターンも他の人の方が出来てるように見えたぞ……。作品に発揮されなきゃできるうちに入らんよ…ファッションの知識なんて業界で働いてたらある程度知ってて当たり前なのにセンスで勝負しないのはちょっとわからないし技術に自信があるならパターンナーや縫製の方が力が発揮できるんじゃないだろうか…。学生時代にセンスが悪いから嫌だと言っても直してもらえず結構悲惨な思いをしながらやったグループ制作を思い出して胃がキリキリしてきた。こっちの方がシンプルにトラウマ…頑張ってるのわかるからダサいって言いづらいんだよ…。

 

そんな人らを尻目にみんなから一目置かれるのは本人もめちゃめちゃオシャレで作る服もハイセンスといういわゆるスーパーマン・ウーマン。この人らは何より見た目がカッコいいので、人気者だし、何がすごいかって着てる服も作る服もトレンドと個性のバランスが絶妙で天才的。愛されキャラだったり孤高のカリスマだったり、いたなぁって感じ。人として好かれるから応援したくなるんだよね。日本人は愛されキャラより孤高のカリスマタイプが好きそう。なんつーか山本寛斎さんより川久保玲的な…。(もっといい例えなかったのか)

 

そして私が万国共通なのか!と感動したのはパターンをガチガチに勉強した人はなぜか服で服ではない何かを表現したがる不思議。

一種のあるあるなのかもしれないがパターンにめっちゃ凝る。服としてというものもあるが、新しい「○ライン」を作り出そうと本人しか理解できなさそうな造形を作りたがる…。

縫製の人が泣くやろと思いながらも本人に縫製技術もあるので誰も何も言えないといういわゆる天才。

そしてこの職人タイプの人は本人の服装がいわゆるジョブズのようなシンプルな格好が多いのもなんでなんや…毎日スーツとか、ほんといる。アパレルは一見華やかに見えるし華やかなデザイナーも多いけど、一見地味な職人が支えてる側面が割とあるんだよね。1番自分が憧れるタイプのデザイナー、出来るということも才能だし。

まぁ自分は夢破れた無職だし憧れたところでって感じなんですけどね…。

 


感想と言っときながら、こんな人学校にいたなというハイブリッド思い出話になってしまったけど、とにかく面白いので見てほしいです。

見ててやっぱりプロってすごいなぁとなったのはパターンが早い。7時間で縫製に回せるのちょっと考えたらわかるけどすごいよ…多分プロなら当たり前なんだろうね…私ならパターンひいてやっとな気がする。だからいろいろ言ったけど全員すごくて、かっこよかった。やっぱり作れる人はかっこいいな。

そしてこれから私はWOWOWでやっていたという同じ司会者の番組を「プロジェクトランウェイ」を見ようと思ってます。楽しみ。